日            時:2023年4月22日(土)10:00~12:00
場            所:各自宅
方            式:ZOOM
ZOOM HOST:宮尾 賢さん
レポーター    :五十嵐起世子さん
テ   ー   マ    :” My Life as an Heiress”(女性相続人としての我が人生)の輪読と意見交換
資             料:My Life as an Heiress By Nora Ephron
参     加     者:10名(男:5名、女:5名)
概             要:

レポーター

アメリカ映画の著名な脚本家であり監督でもあった女性であるノーラ・エフロン(1941年生~2012年没)が自身の母系叔父である”Hal”の遺産相続をめぐるエピソードを随筆にまとめた10ページの文章を輪読し、その都度自由発言を出し合いました。ノーラ・エフロンの両親も脚本家で、叔父のHalに左翼の噂がかかり、両親も左翼のブラックリストに載せられ、映画会社から呼び出され左翼ではないことでけりはついたものの,当時のハリウッド映画界の左翼活動家の話から随筆は始まり、ZOOM参加者からレッドパージの実情が詳しく紹介されました。叔父Hal夫妻は公務員から不動産業に転職し成功して莫大な財産を築きます。叔父夫妻には子供がなく遺産相続の段になれば最近親者は筆者のノーラ4姉妹になります。筆者の母はすでに他界し認知症状の父が残され、やがてHalの妻も死亡してしまいます。その後元気だったHalも病院からの電話で危篤が知らされ、遺産は300万ドルと想定され、4人で均等分割するとか色々あり、使途についてあれこれ思案しているところで死亡通知を受けてしまいます。弁護士の話で、遺産は思ったよりずっと少なく、プエルトルコ進出で大金の損失があったことと、Halの遺言で半分の遺産は長年世話してくれた女中に、残り半分をノーラ姉妹4人に与えるということで結局遺産は8分の1になってしまったというお話でした。Hal死去の当初は莫大な遺産が期待され、その時金銭のために執筆中の脚本も中断してしまい、捕らぬ狸の皮算用のように巨額な遺産の使途に思いを巡らせましたが、前述のように結局その期待は叶わなかったお陰で、執筆中の脚本:”When Harry met Sally”「恋人たちの予感」を書き上げることができ、これが大ヒットして他のヒット作品と合わせて「ロマンティックコメディー作家」としての評価を不動のものとしたというノーラ・エフロンの実話に基づく随筆でしたが、さすがアカデミー賞に数回ノミネートされた脚本家だけあって、短編小説としても十分素晴らしい作品だという声がZOOM参加者から出されました。

参加者全員