日    時:2021年5月22日 10:00~12:00
場    所:各自宅
方    式:ZOOM
ZOOM HOST:宮尾 賢さん
レポーター :堀 三郎さん
テ ー マ :人口光合成
出 席 者 :12名 (男8名、女4名)
概   要

レポーター

レポーター自身が現在「人工光合成」に関わる業務に携わっており、地球温暖化問題の喫緊の課題であるCo2削減に関し、国を挙げて取組み、その削減目標が提示されましたが、専門家としてこの問題をテーマとして取り上げ、意見交換することとしました。
検討資料として日本語の論文の一部抜粋「人工光合成とは何か」(16ページ)と英文論文”Artificial Photosynthesis as a Renewable Energy Source”の抜粋(27ページ)を事前配布し、当日はあまりにも学術的すぎる部分を除いて輪読し、その都度レポーターが補足説明しましたが、それぞれに発言が相次ぎ、発言は英語が原則のところ内容的にも語彙的にも科学技術的専門用語が要求され半分近くの発言が日本語になってしまいました。内容としては人工光合成は①太陽光を用いる、②水を原料にする、③エネルギー蓄積反応により炭水化物、水素、その他の高エネルギー物質を生成するの3要素を同時に備えたものであることだそうです。植物の光合成を人工的に実現しようとするもので、そのメカニズムの説明は高度な科学知識がないと十分には理解できませんでしたが、実験室レベルでは自然植物の光合成の変換効率の10倍以上の人工光合成も実現しているそうです。その概略は光を当てると電気を発生させる電極を使うものや、光に反応して酸素と水素を発生させる光触媒を使うもの、更には空中のCo2を取り込んで炭水化物を生成し酸素を発生するものがあります。実験室レベルでは電極や触媒の材質に多くの候補材料が使われますが、実用化に向けては安価で豊富にある物質で成功しなければならず、また化石燃料に代替できるためには大規模化が不可避になってきますが、サハラ砂漠やオーストラリアの砂漠で海水を淡水化して使うことなどが考えられるとのことです。現在普及がかなり進んでいる太陽光発電は電気を得るだけですが、人工光合成は空中のCo2を取り込んで削減に寄与できる点と、クリーンエネルギーの水素を得られることが大きなメリットになるとのことです。実用化に向けて光電極や光触媒の材料研究やプラントの場所検討が急務ですが日本はこの分野でかなり先行しているとのことでした。

参加者全員